10代半ば頃、たまたま手にした美術雑誌の中にporscheと書かれたつなぎを着てレーシングカーのような宇宙船のようなモノをつくっている人(篠田守男氏)の記事に驚いた。美術の教科書にはないコンナモノも美術の範疇にあるのかと、美術の裾野の広さを知り、その作品のかっこ良さに衝撃を受けたのを思い出す。漠然と工学部に進学するであろう未来は瞬時に粉砕され、美術の世界に足を踏み入れる事になってしまった。しかし、王道であると思われた美術大学に行く事はかなわず、自己流で歩き始めたのだが、美術的な教養に対する渇望から1982年「Bゼミ」に入学した。ここは、現代美術の作家が美術的な思考を演習などを通して実践的に指導する寺子屋のような場であった。「モノはムクでなければならない」という言葉をこれも美術雑誌の中に見つけた。発言主は、田中信太郎氏で、当時、いろいろな物質を手にし始めた私にとって非常に興味深い言葉だった。この田中氏も講師に名を連ねていることが、Bゼミに行くことを決意させた。しかし、ゼミが始まって4ヶ月ほどの夏に田中氏が病に伏したこともあり、1年でやめてしまったのだが。この4ヶ月、おそらく10回前後の田中ゼミ、具体的に何かの為の方法や技術などを学んだ訳ではないのだが、強く印象に残っている。毎週日立のアトリエから横浜のBゼミまで高速道路もない時代に、5~6時間かけてライトバンで様々な物を運んできてくれる。固まったペンキの入ったペンキ缶や東京画廊の1/10モデルやウレタンゴムの大きな塊、大量の半田ごてなど、それらをめぐって双方向の作品論を展開する場となっていた。
82年にBゼミに行くにあたって、金属や機械部品を使った工作的なこと(これらは得意な素材と方法でしたが)をやめ、木材とカーボン、白線用の塗料など根源的な物質や機能に特化した塗料、鉄の厚板(自ら手を加えることなく、鋼材工場で溶断してもらい熱により変形したもの)などを用いたインスタレーションを展開した。
84年1月に神奈川県民ホールギャラリーで開催した初個展「己展開」での発表にてここ数年の取り組みを再考することとなる。得意である方法に対して規制をかけての表現活動の必然性より、自然体での活動でもこの後を継続して行けるように思えてきたわけである。
夏ごろ、たまたま拾った石ころを見ていて、それぞれに形も色も密度も違っていることに気付いた。当たり前なのだが、一つ一つ生成のされ方も違うわけだし、それぞれに歴史を持っていることを再認識した。やがて、個々の石から石固有の何かを引き出せる装置を造ろうと思い立った。石の為のプレーヤーである。
つづく
牛島達治 english
1958 東京生まれ
1983 Bゼミ(Bゼミ Schooling System)中退
2003年より武蔵野美術大学彫刻科非常勤講師
2005年より2014まで明星大学造形デザイン学科非常勤講師
個展
1984 己展開 (神奈川県民ホールギャラリー,横浜)
1987 無用な機械たち (ヒルサイドギャラリー,東京)
1989 中宇宙広場構想 (ヒルサイドギャラリー,東京)
1991 HOMAGE TO THE MOON (アートフォーラム谷中,東京)
1992 「ケハイ」の構造 (ヒルサイド・ギャラリー,東京)
1993 ニュー目黒名〈画〉座 《無用な機械たち》から《シジフォスの夢》ヘ (目黒区美術館,東京)
1995 景色-もうひとつの視点 (プラスマイナスギャラリー,銀座 東京)
1997 まっすぐなキュウリたちの午後 (C・スクエア,名古屋)
1998 水にまつわる埋もれた記憶から (ZEXEL ART SPACE ZOOM,渋谷 東京)
2005 牛島達治 なりたちについて (a piece of space,銀座 東京)
2006 牛島達治 ぬけてゆくこと (ギャラリーマキ,東京)
グループ展
1982 ZONE (東邦生命ギャラリー,東京)
1983 Bゼミ展 (横浜市民ギャラリー,神奈川)
デザインフォーラム’83 (銀座松屋,東京)
テーブル・椅子・コップ展 (Gアートギャラリー,東京)
ニューヨーク・アート展 (渋谷西武百貨店,東京)
1985 第17回現代日本美術展 (東京都美術館/美術館)
現代美術の祭典’85 (埼玉県立近代美術館,埼玉)
1986 FROM SOUND (ストライプハウス美術館,東京)
1988 サウンドガーデンⅠ (ストライプハウス美術館,東京)
1989 ドローイング倉庫展 (ヒルサイド・ギャラリー,東京)
音のある美術展 (栃木県立美術館,栃木)
1990 サウンドガーデンⅢ (ストライプハウス美術館/ハイネッケンビレッジ,東京)
1991 ドローイング倉庫展PART2 (ヒルサイド・ギャラリー,東京)
Sonic Perception音とその知覚に関する試み (川崎市民ミュージアム,神奈川)
サウンドガーデンⅣ (ストライプハウス美術館,東京)
“風”の造形展 (すみだリバーサイド・ギヤラリー,東京)
1992 ドローイング倉庫展PART3 (ヒルサイド・ギャラリー,東京)
NICAF YOKOHAMA 1992 (パシフィコ横浜,神奈川)
1993 第3回名古屋国際ビエンナーレ ARTEC’93 (名古屋市美術館,愛知)
Kid's Art Land (直島コンテンポラリーアートミュージアム,香川)
1994 甲府展 第10回記念展 キネテックスカルプチャー (山梨県立美術館,山梨)
NICAF YOKOHAMA 1994 (パシフィコ横浜,神奈川)
ドローイング展 (ヒルサイド・ギャラリー,東京)
1996 「ひかる・うごく・おとがする」 20世紀の静かならざる作品たち (和歌山県立近代美術館,和歌山)
IZUMIWAKU project 1996《学校アーツ・センター構想》展 (立和泉中学校,東京)
1997 DREAM OF EXISTENCE-Exhibition of Young Japanese Artists (Kiscelli museum.Budapest)
表出する大地展 (広島市現代美術館,広島)
体感する美術 ’97まちへ出よう 風と精霊と人の声 (佐倉市立美術館,千葉)
1999 アートは楽しい10 天国で地獄 (ハラミュージアムアーク,栃木)
2000 大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ2000 (,新潟)
2001 チャンネル・n , 多層世界への水路 (京都芸術センター,京都)
2003 大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ2003 (,新潟)
2005 ランドマークプロジェクト (BankART Studio NYK,横浜)
2007 食と現代美術3 (BankART 1929,横浜)
ランドマークプロジェクト2 (BankART Studio NYK,横浜)
アーティスト・イン・スタジオ・プログラム (BankART 1929,横浜)
ヒルサイドギャラリー ~新たな出発にむけて (ヒルサイドフォーラム,東京)
2008 食と現代美術4 (BankART 1929,横浜)
心ある機械たち (BankART 1929,横浜)
ルーフトップパラダイス (BankART Studio NYK,横浜)
2009 水と土の芸術祭 「豊栄米蔵跡・汎用動力研究所」 (豊栄駅前倉庫, 新潟市北区)
アートプログラム青梅 「空間の身振り」 (青梅市立美術館+市内全域,東京)
2011 新・港村 小さな未来都市 ヨコハマトリエンナーレ2011 特別連携プログラム (新港ピア,横浜)
2013 こすげアートヴィレッジ (小菅村物産館,山梨)
新宿クリエイターズ・フェスタ2013 (エステック情報ビル広場,新宿)
アートプログラム青梅2013 「雲をつかむ作品たち」 (青梅市立美術館+明星大学構内、青梅)
2014 ハンマーヘッドスタジオ新・港区『撤収!』展 (新・港区 ハンマーヘッドスタジオ、横浜)
デイリリーアートサーカス2014 (喜多方市美術館、福島県)
「国立奥多摩美術館~13日間のプレミアムな漂流~」 (国立奥多摩美術館、青梅)
2016 『アーツさいたま・きたまちフェスタ2016』(さいたま市プラザノース,埼玉)
コミッションワーク
1993 ガリバー (新梅田シティー,大坂)
1994 古典的な交信機器 伝声管(Voice Tube) (ファーレ立川,東京)
1997 天と地を継ぐ装置 (シンボルロード,愛知)
1998 地下水位計 あしもとにある宇宙 (HAT神戸・灘の浜,神戸)
光の風車 (北広島市芸術文化センター,北海道)
2000 観測所 (十日町市松代,新潟)
水の時計 (テレビ朝日デジタルメディア会館,東京)
2003 くむ・めぐる・いとなむ (まつだい雪国農耕文化村,新潟)
2004 サヌカイトピットの音響装置群 (高松シンボルタワー,香川)
flying seed (関電ビルディング , 大阪)
2005 kuruw-ru 風車のモビール (さわい病院,神奈川)
2006 おとのみち、ここにも (豊洲シエルタワー,東京)
コレクション
1996 キヲクノタメニ Ⅰ (和歌山県立近代美術館,和歌山)
1998 サイブトシテノシゼンニツイテ Ⅵ (ニッタ株式会社,大阪)
ワークショップと講演など
1993 ARTEC'93 アーティストトーク (名古屋市美術館,愛知)
1996 「牛島達治のすべて」ゲストゼミ (Bゼミ,神奈川)
「都市空間における芸術と環境」 (日仏会館,東京)
1997 「泥で遊ぼう」(岩倉市大地町,愛知)
「天と地を継ぐ装置-夏の昼寝のために」(佐倉市立美術館,千葉)
1998 名古屋芸術大学デザイン学部ゲストトーク (名古屋芸術大学,愛知)
1999 「空の声」をつくろう (ハラミュージアムARC,群馬)
2000 「牛島的-なべ、茶碗に合唱させるための方法」(丸亀市猪熊弦一郎現代美術館,香川)
2007 「身近な物で聴くための装置をつくり、知覚について考える」(ファーレ倶楽部,立川市東京)
2009 「浮遊工房プロジェクト」 (アートプログラム青梅,青梅市東京)
2011 「靴箱から広がる宇宙-宇宙はメカニズムで充ちる。かな?」講座全8回(bankart school,横浜)
2013 「金属を削る、磨く」 (ハンマーヘッドカレッジ、横浜)
2014 「『伝声管』から ひろがる世界」(立川市立柏小学校,東京)
その他の制作物
1985,86 ステーショナリーグッズのデザイン,アートプリントジャパンより発売
1988 アパルトヘイト否 トラック プロモーションモデル「ゆりあぺむぺる・ジュニアー」
1988 倉俣史朗作品制作「Samba-M」(LEDグラス),
「Hydrogen Dream」(スプーンの照明器具)
1988 原広司 梅田スカイシティー建築コンペ プレゼンテーションモデル,梅田スカイシティー
1989 倉俣史朗作品制作「イニューメン 人でなしの女(L'Inhumaine)」(舞台模型)
「Pasta Fork」(電動フォーク)
1990 倉俣史朗作品制作「Amorino」(動くキューピー)
1992 三宅一生展示什器(吉岡徳仁デザイン),ジャンピングマシーン 初期型
1998 可動式プロジェクター台 名古屋芸術大学 (建築設計+監理,PHスタジオ)
1998 三宅一生展示什器(吉岡徳仁デザイン),ジャンピングマシーン 展示用多品種
助成
1994 A.C.C.(Asian Cultural Council)の助成によりニューヨークに滞在
2013 ACY先駆的芸術活動支援 助成(横浜市)
USHIJIMA TATSUJI 日本語
1958 Born in Tokyo
2003- part-time lecturer for sculpture department ,Musashino Art University
2005-2014 part-time lecturer for Department of Art and Design,Meisei University
Individual Exhibitions
1984 Self-improvement (Kanagawa Prefectural Gallery,Kanagawa)
1987 The Machines without purpose (Hillside Gallery,Tokyo)
1989 Plan for the Nakaniita Space park (Hillside Gallery,Tokyo)
1991 Homage to the Moon (art Forum Yanaka,Tokyo)
1992 Structure of atmosphere (Hillside Gallery,Tokyo)
1993 New meguro Meigaza-New Art Paradise , from “The machines without purpose” to “Sisyphos’s Dream”
(Meguro Museum of Art Tokyo)
1995 Vista-Another Perspective (Plus Minus Gallery,Tokyo)
1997 The Afternoon of Straight Cucumber (C・SQUARE ,Chukyo University,Aichi)
1998 From the buried memory regarding the water (Zoom,Tokyo)
2005 USHIJIMA Tatsuji ,about constitution (a piece of space,Tokyo)
2006 USHIJIMA Tatsuji ,Wandering with “Elusion” in Mind and Where That Gose (gallery MAKI,Tokyo)
Group Exhibitions
1982 Zone (Toho Seimei Gallery,Tokyo)
1983 B-Semi Exhibition (Yokohama City Gallery,Kanagawa)
Design Forum ’83 (Ginza Matsuya,Tokyo)
Table,Chair,Cup Exhibition (G-Art Gallery,Tokyo)
New York Art Exhibition (Sibuya Seibu,Tokyo)
1985 The 17th Japanes Contemporary Art Exhibition (Tokyo Metropolitan Art Museum/Kyoto mnicipal Museum)
Contemporary Art Festival ’85 (The Museum of Modern Art Saitama,Saitama)
1986 From Sound (Striped House Museum,Tokyo)
1988 Sound Garden Ⅱ (Striped House Museum,Tokyo)
1989 Drawing Warehouse Exhibition (Hillside Gallery,Tokyo)
Moment Sonorous (Museum of Art Tochigi,Tochigi)
1990 Sound Garden Ⅲ (Striped House Museum/Heineken Village,Tokyo)
1991 Drawing Warehouse Exhibition Part 2 (Hillside Gallery,Tokyo)
Sonic Perception (Kawasaki City Museum,Kanagawa)
Sound Gafden Ⅳ (Striped House Museum,Tokyo)
The wind’s Molding (Sumida Riverside Gallery,Tokyo)
1992 Drawing Warehouse Exhibition Part 3 (Hillside Gallery,Tokyo)
NlCAF YokoHAma 1992 (Pacifico Yokohama,Kanagawa)
1993 The 3rd lnternational Biennale in Nagoya ARTEC ’93 (Nagoya City Museum,Aich)
Kid’s Art Land (Benesse House Naoshima Contemporary Art Museum,Kagawa)
1994 Kofu Exhibition The 10th memorial Exhibition-Kinetic Sculpture (Yamanashi Prefectural museum of art,Yamanashi)
NICAF Yokohama 1994 (Pacifico Yokohama,Kanagawa)
Drawing Exhibition (Hillside Gallery,Tokyo)
1996 Emits Light, Moves,Makes Noises Non-static Art in The 20th Century (The Museum of Modern Art Wakayama,Wakayama)
lZUMIWAKU project 1996 (Izumi public lower secondary school,Tokyo)
1997 DREAM OF EXlSTENCE-Exhibition of Young Japanese Artists(Kiscelli Musem,Budapest)
ASPECTS 0F LAND AND SOIL (Hiroshima City Museum of Contemporary Art,Hiroshima)
The fine arts which has a feeling of the body ‘97 Let’s go to the town-Wind and Energy Spirit’s and Person’s Voice (Sakura Municipal Museum,Chiba)
1999 Art is Fun 10 , Angelic, Devilish, or Both (Hara Musem ARC, Gunma)
2000 Echigo-Tsumari Art Triennale 2000 (Matsudai Town, Niigata)
2001 channel N , channel to the multi-layered world (Kyoto Art Center , Kyoto)
2003 Echigo-Tsumari Art Triennale 2003 (Matsudai Town, Niigata)
2005 Landmark Project (BankART Studio NYK, Yokohama)
2007 A Meal and Contemporary Art 3 (BankART 1929, Yokohama)
Landmark Project 2 (BankART Studio NYK, Yokohama)
Artist in Studio Program (BankART Studio NYK, Yokohama)
2008 A Meal and Contemporary Art 4 (BankART 1929, Yokohama)
Machines with a heart-warming (BankART 1929, Yokohama)
Rooftop paradise (BankART Studio NYK, Yokohama)
2009 Art events of Water and Land ,Laboratory at Toyosaka Rice Granary/ General Dynamics Research Laboratories
(Niigata city, Niigata)
art program ome 2009 (Ome city museum,Tokyo)
2011 A Small City for the Future ,Yokohama Triennale tie-up program (Shinkou Pier ,Yokohama)
2013 Kosuge Art Village (Kosuge product building , Yamanashi)
Shinjyuku Creators Festa (S-tec Information Building ,Tokyo)
art program ome 2013 (Ome city museum+Meisei University Ome Campus,Tokyo)
2014 HammerHead Studio “Withdraw “(Shinkou Pier ,Yokohama)
Daylily Art Circus (Kitakata City museum,fukushima)
“National museum of Art Okutama -Drifting premium of 13 days-“(National museum of Art Oume city/Tokyo)
2016 Art Saitama Kitamachi (Saitama City Plaza North,Saitama)
Publick Art
1993 “Gulliver(New Umeda City,Osaka)
1994 “Classical Communicating lnstrument,Speaking Tube”(Faret Tachikawa,Tokyo)
1997 “Device in succession to the sky and the ground”(Iwakura-city Sinbol Road,Aichi)
1998 “Groundwater Gauge-The universe under the foot”(HAT Kobe/nadanohama,hyougo)
“The windmill of the light”(Kitahiroshima city arts hall,hokkaido)
2000 “Observatory” (Matsudai Joyama area, Niigata)
“The clock of the water”(Asahi Satellite Broadcasting Limited digital media hall,Tokyo)
2003 “Draw water・Move around・life”(Matsudai Nohbutai, Niigata)
2004 “Sound device group of "Sanukaito Pit"”(Takamatsu Symbol Tower,Kagawa)
“flying seed”(The Kansai Electric Power co.inc、Osaka)
2005 “kuruw-ru”(Aoba Sawai Hospital,Kanagawa)
2006 “The road of Sound, here also.”(Toyosu Shell Tower,Tokyo)
Public Collection
1996 "for the remembranceⅠ" (The Museum of Modern Art,Wakayama)
1998 "about nature as the details Ⅵ" (Nitta Corporation,Osaka)
Grant
1994 Received a grant fellowship from the Asian Cultural Council to research contemporary art in USA.
2013 Yokohama City Creative Art and Culture Grants(Arts Commission Yokohama)
other works
under constraction
工事中
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