1998 地下水位計 あしもとにある宇宙 (HAT神戸・灘の浜,神戸)
“Groundwater Gauge-The universe under the foot”(HAT Kobe/nadanohama,hyougo)
コンクリートやアスファルトといった都市の皮膚の下には、土や砂があり、それ程深くないところに地下水がある。ここ「HAT神戸・灘の浜」においては、海が近いこともあって潮の干満による潮位の変化も表層地下水に対して影響をおよぼすはずである。これは、地球と月と太陽との関係がもたらす変化である。この作品は、地下水位計そのものでもありポールの上部のストライプは、目盛に成っている。また、下のテーブル状の板の小さな覗き窓からは、地下水の水面を覗くことが出来る。その水面をみせるために、ポール先端に太陽電池が取り付けてあり、昼間は白色のLEDの光で照らし、夕暮れから数時間は、緑色の光をゆっくりとした呼吸と同じぐらいの周期で点滅させている。
このポールの廻りには、神戸製鋼の工場廃材でアーム状のフックを二つベンチとして配置してある。そして、この作品の成立ちから広く大きな宇宙へと思いを巡らすことのきっかけになればと思う。
★コンセブト
都市の中で暮らしていると、自然を意識することはそれ程多くない。まして地球だとか宇宙だとかのことを意識することもない。都市的な合理性が、生活を支配し、無意識裏に円滑な暮らしを営むことになれ、均質な時が過ぎてゆくことに、快楽を感じているのかもしれない。
しかし、時の流れに没入すればするほど、精神の均衡を保つため、時として「合理」というシェルから、身をさらけ出してみることも必要なことだと思う。いや、人は負荷が大きければ、自然に離脱するのだろうし、そうあるべきだと思う。そこでは、どう意識を開いて行けるのかということが大切な意味を持つだろう。
★すり合わせるべき事実と確認されたこと
コンクリートやアスフアルトといった都市の皮膚の下には、土や砂があり、それ程深くないところに地下水がある。これは、表層地下水と言って地表に近いだけに水位が季節に応じてつぶさに変化している。
ここ神 戸 HAT・灘 の浜 においてば、海 が近 いこともあって潮 の干 満 による潮 位 の変 化 も表層地下水に対して影響をおよぼすはずである。これは、地球と月と太陽との関係がもたらす変化である。
★構造と動作
この作品は、地下水位計そのものである。即ち、井戸の上に被せるかたちで、テーブルとその中心を貫くポール=水位計を配置した構造だ。ポールの上部の赤いストライプは、目盛になっている。また、下のテーブル状の板の小さな覗き窓からは、井戸の中、地下水の水面を覗くことが出来る。その水面をみせるために、ポール先端に太陽電池が取り付けてあり、昼間は白色のLEDの光で照らし、夕暮れから数時間は、スーパーキャパシタという蓄電素子に蓄えた電力で、緑色の光をゆっくりとした呼吸と同じぐらいの周期で点減させている。このポールの廻りには、神戸製鋼の工場で使われてきた重厚な設備廃材で、アーム状のフック二つをベンチとして配置してある。そもそも、再開発されたこの土地は、大工場の一角 であったわけだ。
作品の設置してあるところは、区画のすみの小広場といった場所なので、ちょっと腰掛けて休んだり、待合せをしたりというふうに使ってもらえればと思う。そして、この作品の成立ちから広く大きな宇宙へと思いを巡らすことのきっかけを人々に提供できればと願う。
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